いまこそ『文明の闘争』に参戦するとき

平成30年12月17日(月)

我が国を取り巻く国際情勢のなかで、
平成三十年の後半から顕著になってきたのは、
アメリカと中共の確執だ。
この米中確執は、最初は貿易経済面の利害対立のように見えていたが、
外交安全保障問題に特化したボルトン大統領補佐官が登場し、
さらに、ペンス副大統領の
中共共産党独裁体制そのものの非人間性を痛切に指摘した
宣戦布告に等しい対中全面非難演説によって、
単に経済面の問題にとどまらず安全保障を軸とした
「自由な人間存在の確保」と
「おぞましいシナ式共産党独裁」との
「文明の対立」
であることが明らかにされた。

そして、十二月一日、
アメリカ司法省の要請を受けたカナダ政府が、
中共の通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)の創業者の娘で
副会長兼最高財務責任者アメリカの対イラン制裁法違反容疑で逮捕した。
これは、ボルトン大統領補佐官とペンス副大統領の
対中全面非難の具体的実践だといえる。
ファーウェイは、
地球の情報空間を支配することを狙う中共の国策会社であるからだ。
 
そして、この国益と安全保障上の問題意識に関しては、
アメリカのトランプ政権と議会は一致している。
八月に議会で成立したアメリカの「国防権限法」は、
ファーウェイなどの中共の通信五社を明記して、
それらの企業を、
安全保障上、政府機関や取引企業の調達先から排除せねばならないとし、
さらに、アメリカの国防長官や連邦捜査局(FBI))が
中共政府と関係があると合理的に信じる如何なる企業も
排除できることを規定している。
そして、議会では、ルビオ上院議員が、議会の対中強硬姿勢を主導し、
クルーズ上院議員は、公の場で
「ファーウェイは、通信企業の皮をかぶった中国共産党のスパイ機関だ」と表明した(以上、平成三十年十二月十一日産経新聞島田洋一福井県立大学教授「正論」より)。
 
このように、
現在の米中確執は、単なる米中間の「関税問題」ではなく、
世界最大の人口を持ち、
その膨大な人民の自由と人権を抑圧する
共産党独裁国家である中共の任期なしの主席つまり皇帝となった
習近平の野望である中華帝国主義の世界制覇を許すのか、
それとも自由で人間らしい文明を守るかという
世界史的な文明の対決なのだ。
 
そこで、
この米中対立の文明史的本質を理解したならば、
当然、これは決して我が国と無縁のことではなく、
我が国こそ、主体的かつ自主的に、中共の安全保障上の危険性を理解し、
率先して、米中対立中のアメリカのトランプ大統領と協働して、
その覇権拡大を阻止する行動に打って出るべき状況にあることを知らねばならない。
というより、
それが、我が国に、守られるべき自由で人間らしい文明の名において課せられた
歴史的使命であると自覚しなければならない。
何故なら、中共は、
我が国の西方の海の向こうに存在し、
我が国のシーレーンが通る南シナ海を「中共の海」と宣言し、
我が国近海の東シナ海にある台湾を中共の領土と主張し、
我が国の領土である尖閣諸島を狙っているのみならず、
既に沖縄本島奄美群島中共自治区にするという野望を露わにしているからである。我が国は、
この中共の軍事的脅威を直接受けており、
さらに情報空間を支配されようとしているのだ。

しかるに、
我が国の議会は、情けないことだが、
既に中共の情報操作の罠に嵌まっているかのように危機意識皆無である。
また、
先日の安倍総理の訪中に群がるようについていって
北京での商談に忙しかった我が国の企業人の面々方、
覚悟して、きっぱりと、中共の国策企業との設け話に乗るな。
うかっとしておれば、
アメリカの国防権限法によって市場から排除されるぞ。
 
この十二月には、
安倍内閣提出の入管法改正法案が成立した。
この法案は事実上の移民法であり、
最も近い中共から中国人が大量に日本に入国して住み着く。
かつて菅直人内閣が、
中国人の日本入国ビザの条件を大幅に緩和した時、
同時に、
中共は、いざとなれば、外国(日本)にいる中国人に指令を発して中共の為に戦う義務を負わす国防動員法を制定しているのだ。
従って、
我が国は、中国共産党の「潜在的便衣兵」を大量に永住させることになる。
既に我が国にいる中国人は、
すべて国防動員法に縛られた「潜在的便衣兵」なのだ。
これは重大な国防上の危機である。

この入管法に野党は反対したというが、
国防上の観点から、
例えばアメリカのルビオ上院議員のような問題意識から反対した者は皆無であった。
古代国家トロイは、
城内に「トロイの木馬」を受け入れて滅ぼされた。
我が国への大量の中国人の入国は、
亡国に至る「トロイの木馬」の受け入れである。
しかし、内閣と議員諸侯に、その危機感は無い。
実はこれが、
真の危機の本質であり亡国の姿なのであろうか。
明治の田中正造が、百年前に、
「亡国を知らざれば、これ即ち亡国」
と言ったとおりではないか。
 
我が国には、江戸時代以来、
漢籍などの美辞麗句に酔うたように盲目的にシナに親近感を抱く対中理解と、
それでは国家戦略を誤ると警鐘を鳴らす
福沢諭吉内田良平のシナのおぞましい実態を前提にしたシナ観がある。
そして、歴史は、
融和的対中観が国策を誤ったことを示している。
よって、我らは、まさに今、
中共の、まことにおぞましい実態を厳しく見つめねばならない。
つまり、福沢諭吉内田良平の伝統的視座を回復しなければならない。
そのために、まず明治十二年に清国偵察をした情報将校福島安正の
次の報告結果を噛みしめるべきだ(福島安正著「隣邦兵備略」)。
「清国の一大弱点は公然たる賄賂の流行であり、
これが百悪の根源をなしている。
上は皇帝、大臣より、下は一兵卒まで
官品の横領、横流しを平然と行い贈収賄をやらない者は一人もいない。
これは清国のみならず古来より一貫して変わらない歴代シナの不治の病である。
このような国は、日本がともに手を取ってゆける相手ではありえない。」

 

 

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