見事、トランプ大統領

平成31年3月1日(金)

世界史を大観して、
「ある地域には同じことが繰り返し起こる」
と言った欧州の歴史家がいる。
この歴史家が言う「ある地域」とは欧州の火薬庫といわれたバルカン半島のことだ。
そこで、欧州ではなく
東アジアの歴史を大観して、我ら日本人は何を知るべきかを考える。
そうすれば、
朝鮮半島では同じことが繰り返し起こる、
と言わざるを得ない。
 
明治の日清戦争(二十七、八年)と日露戦争(三十七、八年)は、
我が国と
朝鮮半島の西と北で国境を接する清(支那)と帝政ロシアとの国家の存亡をかけた戦いであったが、
その二つとも、朝鮮半島が背後の清とロシアを内部に引き入れ、
我が国が清とロシアの軍事的脅威に直面させられたことに起因する。
さらに、振り返れば、
我が国が、太古に朝鮮半島の白村江に出兵して戦った相手は唐(支那)であり、
豊臣秀吉が、近世に朝鮮半島に出兵して戦った相手も明(支那)であった。
 
また、昭和二十五年六月二十五日に、
突如、北朝鮮軍が三十八度線を突破して勃発した朝鮮戦争も、
名目上は北朝鮮と韓国との戦争ではあるが、
実際に戦ったのは、
主に中共人民解放軍アメリカ軍であった。
この朝鮮戦争は二十八年七月に停戦が成立するが、
以後、北朝鮮金日成の軍事優先の独裁体制の下で核兵器の開発を開始した。
そして現在、
孫の三代目の金正恩は、
核爆弾とアメリカ本土に届く大陸間核弾頭ミサイル(ICBM)を保有するに至っている。もちろん、
北朝鮮は、ICBM保有のはるか以前に、
韓国と日本に届く中距離核弾頭ミサイルは保有済みである。
独裁者が、核弾頭ミサイルを保有することは、
その射程に入っている我が国やアメリカのみならず、
世界の脅威である。
従って、ここに至って動き出したのが、
自国領土が北朝鮮の核弾頭ミサイルの射程に入ったアメリカのトランプ大統領だ。
昨年六月のシンガポールにおける米朝首脳会談と、
この度のハノイにおける米中首脳会談がそれだ。
アメリカのトランプ大統領は、
「完全、検証、不可逆、非核」(CVID)を主眼とする
北朝鮮の非核化を掲げて会談に臨んだが、
シンガポールでは「泰山鳴動してネズミ一匹」に終わり、
ハノイでは「決裂」した。
 
このハノイにおける米朝首脳会談の「決裂」を如何に評価するか。
私は、
トランプ大統領よくやった、
と高く評価する。
つまり、彼は、
前任者のように、北朝鮮に欺されて宥和しなかったということだ。
独裁者に宥和することが如何なる危機を生み出すかは、
ドイツの独裁者ヒトラーミュンヘン会談で宥和したことが
第二次世界大戦への引き金だったことから明らかであろう。
 
世界の核廃絶を訴えながら北朝鮮の非核化には無関心で
ノーベル平和賞を詐取したオバマ大統領は論外として、
北朝鮮の非核化を掲げて北朝鮮接触した
二十五年前のクリントン大統領と
十七年前のブッシュ大統領(息子)は
共に北朝鮮に欺され、
北朝鮮の核廃棄という嘘の約束の見返りに
アメリカや日本は巨額の資金を北朝鮮に送った。
そして、北朝鮮は、その資金を核ミサイル開発の為に使った。
つまり、現在の北朝鮮の核弾頭ミサイルは、
アメリカ大統領が欺されてアメリカや日本が支払った金で作られたのだ。
この一人の大統領の無策と二人の大統領の失敗を繰り返さず、
北朝鮮に一円(一セント)も出さず、
非核化の為に北朝鮮に対する全面的制裁を継続することを明言した
トランプ大統領は評価されるべきだ。

その上で、アメリカから目を転じて、
北朝鮮による現在の世界と我が国に対する重大な核の脅威を生み出した
「最悪の無策」
を指摘しなければならない。
この「最悪の無策」を続けたのは、
我が日本の歴代内閣である(韓国は論外)。
 
昭和五十二年(一九七七年)九月、
ソビエトNATO(西ドイツ)に向けてSS20(中距離核弾頭ミサイル)を実戦配備した。これに対して、西ドイツのシュミット首相は、
政治的軍事的バランスの回復は死活的に重要であると宣言し、
ソビエトのモスクワを狙うパーシングⅡ(中距離核弾頭ミサイル)を実戦配備した。
その結果、ソビエトはSS20を撤去した。
つまり、シュミット首相は、
ソビエトがSS20を撃てば
確実にソビエトを核攻撃できる態勢(相互確証破壊)を構築した上で、
ソビエトに対して強烈な軍縮圧力をかけてSS20を撤去させることに成功したのだ。
次に、
昭和五十六年(一九八一年)六月、
イラクの独裁者サダム・フセイン
バクダッド郊外に原子炉を建設しているのを突き止めた
イスラエルのぺギン首相は、
F15とF16の合計八機の戦闘機を
サウジアラビア領空からイラクバグダッド郊外に進入させて
その原子炉を爆撃破壊した。
この西ドイツとイスラエル両首相の決断と果敢な実行は、
自らの決断で自国の脅威を克服した見事な快挙である。
しかし、
この西ドイツとイスラエルの果敢な行動を見ながら、
当時の福田赳夫総理と鈴木善幸総理のみならず我が歴代内閣は、
自らの決断とその実行で
北朝鮮からの核攻撃の脅威を除去できる好機を探るべし、
とは、これっぽっちも思わずに打ち過ぎ、
現在に至っても、呆然とアメリカ任せを続けている。
しかし、アメリカのトランプ大統領
自国に届く北朝鮮ICBMの除去には熱心でも、
自国に届かない中距離ミサイルは放置させる可能性大である。 
国民の命に関わる無策を要求する戦後体制、
つまり、その象徴としての日本国憲法九条は、
広島と長崎に続いて我が国が核攻撃を受ける状態を容認する条項である。

こと、ここに至っても、
今までの無策を続けるのか!?
シュミット首相やペギン首相の如く、
我が国も、
自らの決断と力で、
強力な核抑止力を構築し、
半島と大陸の核ミサイル基地を爆撃破壊できる軍事力を保有しなければならない。
しかるに、
今の国会は、連日、何をやっとるのか!?
二月二十六日は過ぎたが、
2・26事件の将校の思いがよく分かる!

 

 

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