新緑の季節

昨年の九月四日、
泉州と大阪湾岸を襲った台風21号は、
昭和三十六年九月十六日の第2室戸台風と同じコースをたどった台風で、第2室戸よりも強烈だった。
その21号が去った後の
仁徳天皇御陵の森と周辺の道に沿った木々の多くは、
幹が裂かれて倒されていた。
いつも歩く御陵の西側に沿った道には倒れた木々が横たわっていた。
そこを通り抜けて御陵の正面に立つと、
鳥居の奥の巨大な墳丘に茂る森がなぎ倒されていて、
森の木々が形作っていた
いつも観ていた「顔」がなくなっていた。
僕には、そこに、大きな黒い目の西郷さんの顔があるように観えていたのだった。

それから秋を終えて冬を越し、
今、まさに、台風後、始めての新緑の季節を迎えている。
そして今朝、
特に強く感じたのは、
あの強烈な台風に痛めつけられたあとの新緑が、
今まで観てきたどの新緑よりも、
逞しく美しい生命に満ちているということだ。
仁徳天皇御陵の森は、
みずみずしい生命力に溢れている。

自然の木の姿を、人のかがみとされた
昭和天皇の御製を思い起こす。
ふりつもるみ雪にたへていろかへぬ松ぞををしき人もかくあれ
冬枯れのさびしき庭の松ひと木色かへぬをぞかがみとはせむ

僕は、二礼、四拍手して
第十六代仁徳天皇
日本国と皇室の弥栄と
第百二十六代の天皇そして皇后両陛下、
上皇太后両陛下、
のご健勝をお願いした。

 

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