人生は詩であり、詩は酒である

本日の産経新聞の「産経抄」は、
読んでいて、
「こいつ、アホか」
と始めて思った産経抄である。

記者は、産経抄で、
丸山穂高議員を非難し、
「次の珍事を招く前に、潔く議員バッジをはずした方がいい」
と結んでいる。

その結論に至る為に、
まず、
昭和二十三年、酒癖が悪い大蔵大臣が、国会内で泥酔して女性議員に抱きつき、
キスを迫り、抵抗されるとあごにかみついた事例を挙げ、
この大臣は、議員の職も失ったと書いた。
その上で、
丸山議員も四年前に居酒屋で酒を飲んでいて、酔客ともみ合いになり相手の手をかんだ、
と、彼がこの大蔵大臣と同じような酒癖の悪さであるかのように誘導した上で、
今回の北方領土への「交流訪問団」に参加中も酒を飲んだ状態で、
「戦争で奪われた領土を取り返すのは賛成か、反対か」と団長の大塚小弥太さん(89)に詰め寄り、同じような質問を繰り返したと見てきたように記し、
結びとして、
「この暴言はロシアとの返還交渉に水をさし、ビザなし交流に悪影響を与える可能性もある。謝罪と発言の撤回で済ませるわけにはいかない」
として冒頭に記した結論に誘導している。

そこで、
五月十四日に
「『戦争で取られた島は、戦争で取り返すしかない』、丸山議員よく言った」
と、このFBに書いた小生は、
何故、産経抄の記者が「こいつ、アホか」なのか、
その理由を書く。

先ず第一に、
丸山君の発言、
これは議員の「言論」である。
女性にキスを迫り抵抗されてあごにかみついた大蔵大臣の事例とは天と地ほど次元を異にする。
「言論」と「犯罪(強制猥褻)」、
この次元の違う両者を結びつけるのは
狂った飛躍である。
産経抄氏よ、
頭を正常に飛躍させよ。
つまり、
丸山君の発言は「言論」なのであるから、
この「言論」に対して、
平和憲法」を奉じるマスコミ界と国会の馬鹿な烏合の衆が
歩調を合わせ丸山君の議員辞職を迫る現在の情況から
頭を飛躍させて連想すべきは、

昭和十三年(1938年)と同十五年(1940年)に
衆議院議員西尾末広斎藤隆夫を、
その「言論」の故に議員を除名処分にした
時勢に迎合する烏合の衆達の馬鹿さ加減であろうが。

西尾末広は、優柔不断な近衛首相に、
ムッソリーニヒトラースターリンの如く、
革新政治を断行する、確信に満ちた指導者たれ」と迫り、
斎藤隆夫は、同じく日華事変の処理に確固たる方針を示さない近衛首相に
「やれ、東亜の平和や、東亜新秩序や、聖戦などという歯の浮くような文言を使うことなく、
如何にして事変を治めるのかを具体的に述べよ」と要求した。
そして、
朝日新聞を筆頭とするマスコミは、西尾、斉藤を非難し、
国会内の烏合の衆は西尾と斉藤を除名したのだ。

小生は、確信している。
いま丸山君の議員辞職を迫るマスコミと国会内の「大衆」は、
かつて西尾、斉藤を除名した馬鹿どもと同じだ。
歴史は、
この馬鹿なマスコミと「大衆」の迎合という大政翼賛が、
戦前と戦後において、
ベクトルは正反対に見えながら、
等しく我が国を誤導し惨害を与えている。
こともあろうに、
産経抄が、
これに迎合してどうする。

断っておくが、
小生は、
西尾末広斎藤隆夫と丸山君を同等だと言っているのではない。
西尾、斉藤は、堂々たる総理を越える人物で有り、
丸山君は兄ちゃんだ。
ただ、「言論」において同じだから、
産経抄氏よ、強制猥褻と言論を結びつけずに、
頭を正常に飛躍させよと要求しているのだ。
ついでに、産経抄氏に加えて、丸山君にも言っておく、
一旦、言ったことを撤回し謝罪するな。
西尾末広斎藤隆夫も、
撤回も謝罪もしなかったぞ。
あの命が狙われる時代においても。

次に、産経抄が言う
この「暴言」が、
「ロシアとの返還交渉に水をさし」、
「ビザなし交流に悪影響を与える可能性もある」
とは何を言っておるのか。

これが、「正論」欄で、
木村 汎北海道大学名誉教授の
「ロシアは北方領土を返還する意思は毛頭無い」
という正論を掲げた産経の言うことか。
また、
袴田茂樹新潟県立大学教授の
「つまりロシア側は北方領土問題を馬の前にぶら下げるニンジンとみているのである」
「(プーチンの領土問題を抜きにした日露平和条約の締結提案に対して、ロシアの元外務次官も)これほど侮辱的な提案はブレジネフのソ連時代でさえも日本に対して行わなかった」
という正論を掲げた産経の言うことか。

いいか、
ソ連そしてロシアは、
一貫して北方領土を日本に返還する意思はない。
従って、ロシアからみた「返還交渉」とは
「日本という馬の前にニンジンをぶら下げること」なのだ。
「ビザなし交流」もニンジンの一つである。
従って、
丸山君の発言は、
領土返還に悪影響ではなく好影響を与える。
だから、小生は、よく言ったと記したのだ。
撤回し謝罪したことをダメだと言うのだ。
言論に自ら省みて恥じないならば、
一千万人が敵になっても屈するな。

産経抄氏よ、
ブレジネフの手下としてKGBに入って出世したプーチンには
産経の「正論」が指摘し続けているように我が北方領土を返す意思は毛頭無い。
その上で、プーチンは、
日本を、
平和憲法」で縛られた哀れなカネをもっただけの馬と見くびり、
前にニンジンをぶら下げ、カネをせしめようとしてきた。
つまり、
プーチンは、日本を見くびり騙し侮辱しているのだ。
従って、
今、西のクリミア侵攻以来国際社会で白眼視され窮地に立っている
そのプーチンに、
日本を見くびるなよ、
ニンジンのからくりはとっくに分かっているのだ、
これからも侮辱を続けると、
日本国内に戦争で取り返すという機運が爆発的に盛り上がるぞ、
というサインを見せつけることこそ、
「真の返還交渉」を推進する力になるのだ。
その意味で、
丸山君の「戦争で奪われた島は戦争で取り戻す」意思有りや否やという発言は
従来の日露友好、日露交流を歌い続けるより有意義である。

最後に、産経抄氏は
泥酔して女のあごにかみついた大臣の自伝を紹介し、
そこに事件への反省はなく
「人生は詩であり、詩は酒である」などといいきなものだと書く。
そして、令和の時代はそうはいかない。
次の珍事を招く前に、潔く議員のバッジをはずしたほうがいい、
と説教気味に丸山君に書いている。

ええかっこうするな。
この結論の前提が間違っているのだから、
典型的なアホな偽善者の空論となっている。

それにしても、
素晴らしい言葉を教えてくれた。
「人生は詩であり、詩は酒である」
良い言葉ではないか。
明治の詩人若山牧水そして画家横山大観
さらに日露戦争を勝利に導いた軍人秋山好古を見よ。
皆、酒を愛した。
ついでにエコールドパリのモジリアニ、
酒を愛し、絵を残し、若くして死によった。

 

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